事の発端はとあるツイートを見たところからはじまる。「これはどっちが原画？」と書かれ画像が載せられていた。
その画像にはハクナで2人の配信者がライブ中ということが示されているものなのだが、アイコンがどちらも「牛柄のパーカーを羽織った女の子が牛柄のマグカップを持っている」でモチーフが酷似していた。
絵のタッチ的にそれぞれ違う絵師さんに描かれたものだが、素人目から見ても構図が似ていることが分かる。これはツイートされた方が「どっちが原画？」と困惑するのも頷ける。興味を持った私はそれぞれのイラストについて調べてみることにした。
片方のイラストは配信者が絵師に有償依頼したもの(以下このイラストをA絵、イラストを使用した配信者をA子と称することにする)
もう片方のイラストは絵師がSNSで投稿したフリーアイコンと明記されていないもの(以下このイラストをB絵、イラストを使用した配信者をB子と称することにする)
このことから、B子さんはこのイラストを無断転用していることがわかる。
有志が B絵を描いた絵師に連絡をし、B絵がアイコン等に使用していいフリーイラストでは無いこと、使用している方がいるのであればそれを取り下げて欲しいという旨を聞き、現在B子さんに連絡をしてくれている。
しかし、これだとA絵とB絵が似すぎているという疑問の解決にはなっていない。
イラストトラブルとして無断転用も多く聞くが、実はイラストのパクり・パクられ問題も少なくない。私はA絵とB絵のどちらかがどちらかの構図をパクっているのではないかと考え、この2つのイラスト公開日に着目することにした。
A子さんが「依頼していた絵が届いた」とA絵を公開したのが2022年3月6日、B絵が公開されたのが2021年1月1日ということが分かった。
つまり構図・モチーフを盗用しているのがA絵ということになる。
となるとまたしても疑問が出来る。
有償依頼で引き受けた仕事で他作品のモチーフを盗用するだろうか。
というのもイラスト界隈では他作品を盗用するトレス行為(通称トレパク)が問題視されており、その行いが判明したら界隈全体に拡散され当然ながら批判を浴びる。それがまた金銭を受け取って描いたというのであれば一層批判は増すし、最悪の場合裁判になる可能性もある。
そのようなリスクを果たしてA絵を有償依頼され販売した絵師が負うだろうか。また、今回盗用されたと思わしきB絵もTwitterでは1万いいね近くついており、トレパクをするにしてもバレる可能性がかなり高い。
そう考えると1つの可能性が浮かび上がってくる。それは、「A子さんが故意にB絵に似ている絵を描かせた」という説だ。
私はそれを検証すべくA子さんが過去どのような絵を有償依頼したか調べることにした。
調査引用元はA子さんのTwitter。
まず彼女は普段よりイラストを有償依頼してアイコン等に使用している事が分かった。そしてその全てのイラストに共通して牛柄のパーカーを羽織った女の子が描かれている。恐らくこれはA子さんのイメージキャラの様なものなのだろう。
ツイートを遡ってみると気になる点が見えてきた。
問題のA絵が公開された2022年3月6日付近にA絵を含めて3枚「牛柄のパーカーを羽織った女の子が牛柄のマグカップを持っている」絵を有償依頼で描いてもらったとツイートしているのだ。
前述の通りこの構図はB絵とかなり酷似している。しかもこの3枚の絵はどれも違う絵師によって描かれたものだ。
同時期に違う絵師3人が同じ構図の絵を描いている…。「牛柄のパーカーを羽織った女の子を描いてください」とだけ依頼しただけでは被ることがありえないだろう。
それ即ち「A子さんが事細かく絵師に構図を指示している」ということにならないだろうか。
さらにツイートを遡るとついに決定的な事実が判明した。
2022年2月26日、A子さんは「3月からハクナで配信を行うのでよかったらフォローしてね」という旨をツイートしたのだが、それに載せられていた画像がB絵をハクナのアイコンに設定しているものだった。
つまりこれはA子さんはB絵というものを認識した上で(しかも無断転用をしていた)その構図に酷似したA絵(他2枚の絵)を有償依頼したということだ。
B絵に酷似したイラスト3枚をよく観察すると若干違うニュアンス(向きの角度や絵のタッチ)を感じ取ったので恐らくA子さんはB絵を絵師達に見せず特徴のみ伝えて依頼したのであろう。
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ここまで読んでくれた方に勘違いをして欲しくないのだが、私はA子さんを批判したくてこのブログを書いたわけではない。
もちろん行ったことは批判されることだ。何故ならばこの配信アプリは配信者に金銭利益が発生する場合もあるし、B絵に酷似した絵を販売したということで絵師たちも批判され二度と絵を販売できない可能性があるからだ。そうなれば事態はかなり大事になるだろう。
ただA子さんの立場から考えると「やっちゃいけない事だと知らなかった」のかもしれない。実はこのように配信界隈に置けるイラストトラブルは故意的に行われたものはかなり少数で大半は「悪意なき悪質な行為」によってもたらされている。
私は今回このような「悪意なき悪質な行為」が1件でも減ることを願い、今回の事象を取り上げさせていただいた。
前半に書いた有志の方がB絵を描いた絵師に連絡した際に今回のトレース疑惑の話もしたそうだ。その際に絵師さんがオリジナルイラストのトレースは禁止していること、そしてその絵の使用を取り下げてもらうことを願っていたので有志の方がA子さんにこの事を伝えるべく連絡をとっている最中なのだがどうにも連絡が取れない状態となっている。
「悪意なき悪質な行為」が「悪意ある悪質な行為」となる前に是非ともA子さんには真摯ある対応をしてほしいと願うばかりである。
